「リンパ浮腫診療の環境改善に向けて要望書提出」

5月21日(水) 鰐淵洋子厚労副大臣を訪問し、リンパ浮腫診療の環境改善に関する要望書を提出してまいりました。

先進国のドイツでは50年前にリンパ浮腫診療が保険適用化されていますが、わが国では長年、完治しない、治療法がないと言われ続け、先天的なリンパ管形成不全のために、もしくはがん治療の後遺症としてリンパ浮腫を発症され重症化の一途を辿る方が多くみられました。

このような状況下において、2005年から保険適用化を実現するための活動を開始し、厚労省への陳情を重ね、2007年の全国的な署名活動では多くの患者ご家族の皆様、医療者、支援者の皆さまのご尽力により24万人の署名を募り、厚労省と医師会に提出することができました。これらの活動は、2008年に初めて『リンパ浮腫の診療報酬(指導管理、弾性着衣の療養費)』が認可される大きな後押しとなりました。

その後も山積する課題を解決するために、リンパ浮腫診療の保険適用の拡充化を目指して活動を続けてまいりました。

このたび患者会「リンパ浮腫ネットワークジャパン」の岩澤玉青代表を中心に、リンパ浮腫やがん疾患に関わる患者団体や医学会等と協議を重ね、鰐淵洋子厚労副大臣への陳情の機会をいただくことができました。

冒頭に全国の患者さんの想いを胸に熱意の込められた陳情を岩澤玉青さんが成し遂げてくださり、患者代表としてあすなろ会副会長の東厚子さんがご自身の26年間の苦悩をお話くださいました。

続いて、日本血管外科学会より海野直樹先生(浜松医療センター院長) 、日本乳がん学会より片岡明美先生(がん研究会有明病院)、CSRプロジェクトより櫻井なおみ代表からも一言ずつコメントがありました。そして、佐藤からは日本リンパ浮腫治療学会保険委員として、この20年間の保険適用実現のための取り組みや専門セラピストの育成について、小児リンパ浮腫ケアの重要性についてもお伝えしました。

【要望の重点項目】

1.持続可能な医療提供体制の根幹を担う「診療報酬」の拡大

2.リンパ浮腫患者が格差なく保険診療を享受できるよう対象患者の拡大

3. リンパ浮腫外来の設置強化とがん診療連携拠点病院等の指定要件への明記

4.弾性着衣の限度額の見直し

陳情には、鰐淵洋子厚労副大臣をはじめ、伊藤孝江参議院議員、山本博司参議院議員、重久西宮市会議員 も同席してくださり、厚労省から保険局医療課、課長補佐や専門官の方が6名が出向いてくださり、厚労省として本腰を入れてくださる熱意を感じました。

当初、15分間の陳情時間を予定していましたが、国会中の多忙な時期にも関わらず、鰐淵洋子厚労副大臣は30分間のお時間をくださり、実際に弾性着衣や弾性包帯等を手に取りながら、わたしたちの訴えを丁寧に聞いてくださいました。

このたびの陳情に際しまして、全国の57 患者会および患者支援団体、10 医学会、1 協議会、2 協会がご連名くださり、皆様にお力添えいただき実現することができましたことを心より感謝申し上げます。

昨秋開催されました国際リンパ浮腫フレームワーク・ジャパン研究協議会 第13回学術大会におきまして、ご来場の皆様が綴ってくださいました厚労大臣へのメッセージも届けることができました。 *厚労省へ 想いのボード「あなたの声を聴かせてください」

現在、わが国のリンパ浮腫患者数は約25万人、毎年1万人以上の方が新たに発症していると推測されています。リンパ浮腫はより早期に気づき、正しく診断され、適切な治療とケアを受けることで重症化を防ぐことができます。重症化を防ぐためには、発症してからだけでなく、発症前(0期:潜在期・有リスク期)からの適切な情報提供や初動ケアの認識が重要です。

現在の課題に基づいた要望内容のすべてを実現させるには、引き続き多くの取り組みが必要となりますが、今後ともリンパ浮腫診療の改善に向けて活動を続けてまいります。

ぜひこれからも皆さまの応援とご協力をよろしくお願いいたします。

要望書提出:リンネット代表 岩澤玉青さん、副代表 山崎多賀子さん、あすなろ会副会長 東厚子さん、海野直樹先生、片岡明美先生、桜井なおみさん、佐藤佳代子